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日帰り散歩 倉吉

文/タケノコ里煮 イラスト・撮影/葉付ミカン デザイン/河瓶オレ

no09_01今回の日帰り散歩は(勝手に) 「ふらりよし、くらよし」の巻です。

「今日お天気いいから、
日帰り行っちゃおうか?」

ミカンからの電話で向かった先は、倉吉。
ところで、女二人連れの旅はどうしてこうなの?道中しゃべりっぱなしドライブ。
トークに夢中で道を間違え、慌ててUターン。いきなり迷ナビぶりを見せてしまった。

申し遅れましたが、わたくし、お散歩名人まいこさんのピンチヒッター、タケノコです。
どうぞよろしく。

倉吉のシンボル打吹山の近くに車を止めると、のどかな町並みが目の前に。
素朴な疑問。「倉吉って蔵が多いから”くらよし”なのかしら?」取材なんだから、それくらい調べて来るべきなのにね。のんびりしすぎである。
そのわりに、「腹が減っては、だよね。」と、食べることに関しては速やかな二人。

まずは食事処を探してぶらり。”餅しゃぶ”の文字が目にとまる。
古風な白壁作りの軒先に紫紺の暖簾がよく映える。玄関を開けると、わお!町屋ならではの吹き抜けの空間が広がっていた。

ここ清水庵さんは、創業百余年、一途に餅を作り続けてきた名店。大切に守るということは、その味に深みをもたらすものなり。
なので、タケノコは迷わず”餅しゃぶ膳”。ミカンは、”マーブルポーク”という不思議なメニューに心ひかれている様子。さっそく注文してみることに。

お料理を待つ間に店内をキョロキョロ。
かねてから町屋に住みたいと思っているタケノコは、嬉しくて仕方ない。
ちょうど座っている席からはきれいなお庭が望める。
お家の内側に庭があるなんて贅沢な造りだね−。
「土間から吹き抜けの広間につながって、奥に中庭と蔵っていうのが倉吉の町屋の特徴で、京風なんだって。」とミカン。
おお0!意外と(・・・失敬)頼もしいじゃない。

さて、お待ちかねのお食事がやって来た。
う0ん美味!とろける餅の食感が新しい。大満足。
一方、ミカンはといういうと、お客さん皆がふうふう熱い鍋を前にしている中に一人、豚のしょうが焼き。いいんだけどね、美味しそうだし。
果たして高品質&ヘルシーが売りというマーブルポークのお味や、いかに。
「柔らかくて甘い・・・気がする」だそうです。
マーブルポークは餅しゃぶとセットにしてスペシャル膳にもできるので、お腹とお財布に余裕のある方は、ぜひお試しあれ。

腹ごしらえの後はいよいよ散歩。
まずはメインスポット、赤瓦白壁土蔵群へ。
古くは江戸時代から残っている土蔵がお店や工房に再生されていて、ふらりと歩くにはもってこい。 玉川沿いに並ぶ土蔵群は、国の重要伝統建造物群保存地区に選定されていて、”行ってみたい蔵の町”に選ばれたこともあるのだ。
さっそく土蔵の中にある竹細工店「中野竹藝」さんへ。
竹を割らずに曲線を作り上げる技術は、日本で唯一ここだけ。笑顔のまぶしい店主の中野泰助さんが、その技をお持ちのお一人。
カワイイ小物もいっぱい。お土産選びに迷っているうちに、コーヒーまで頂いてしまった。ご馳走さまでした0。

川沿いを歩き出したとたん、
「お姉ちゃんたち二人0?」
ん?新手のナンパか?そんなわけはなく、
「さびしいなぁ。今度は彼氏とおいでや。」
くーっ!酔っ払いの観光客のおじさんであった。 美味しいコーヒーでラッキーな思いをした直後の カウンター攻撃に、呆然と顔を見合わせる二人。 とほほ。

「前に来たときもこの川でカメラ流しちゃったんだよね。」ミカンがポツリとつぶやいた。
それは切ない。今度この辺りに来る時は気をつけようね。

気を取り直して前向きに歩いていくことに。と思ったら、あっという間に赤瓦土蔵群は終わってしまった。古いものを残すって大変なのだよ、うん。
逆に言えば、それだけ貴重な町ってことでもあるのだ。玉川に架けられた石橋、白い漆喰壁、赤い瓦。こぢんまりとしているけれど、そこがまた可愛らしい町並みだ。

土蔵群を越え、小路を抜けると懐かしさ漂う商店街。漫画家の谷口ジローさんが倉吉を舞台に描いた『遙かな町へ』に出てくる風景そのままだったりする。
なんだかタイムスリップしたみたいだ。写欲をかきたてられたのか、パシャパシャ撮ってたミカンが突然立ち止まる。面白そうなお店を発見したらしい。どれどれ。
入り口のガラスドアには「入ってみる!」と手書きの文字。「入れ!」じゃなく?微妙に強気な感じに吸い込まれ、入ってみると・・・素敵!

数年前まで紳士服洋品店だった店内は、手前がギャラリー、奥が喫茶室という店構え。
倉吉独特の町屋造りで、築百十年の面影をそのままに中庭まで綺麗なラインで繋がっている。とても落ち着くレトロな雰囲気。

「入ってみる!」を見かけたら、入ってみる!ことをお勧めします。

突然ですが、
滝沢馬琴の超長編大作
『南総里里見八犬伝』をご存知? 映画でなら見たことあるって方も
多いのでは。

その八犬士のモデルともなった里見家
最後の当主、里見忠義と彼に殉死した八人の
家臣のお墓が、なんと倉吉にあるのだ。知らなかった0。 由緒正しき大岳院に彼らは眠っているという。シンとした敷地内に厳かにその墓標は立っていた。 傍らには八犬士にちなんで、かわいい犬の置物が8匹。お寺に参ったついでに探してみると楽しいかも。そういえば「お墓の写真て、なんか写ってたらどうしよう。」って怖がってたけど、ミカン、大丈夫だったかしら?

日も暮れかかってきたので、車を止めた打吹公園へ戻ることに。
天女が舞い降りたという伝説を持つ打吹山は、桜の名所でもある。
春になったらとても綺麗に違いない。

なんたって公園内には4千本の桜と、つつじが4万本だもの。
しかし、かなしいかな。お散歩取材の今日は真冬。咲きこぼれる姿に想いを馳せ、
桜の木々を見上げる乙女二人。ひゅ0るり0。
何が寒いって、このシチュエーションが寒いくない?帰ろ、帰ろ。
暖かくなったらまた来たいね。倉吉はそう思わせてくれる町だった。
古さと新しさが混ざり合って、ミルクティーみたいにいい感じ。倉吉という地名は、
諸説あれど、「災害が少なくて自然が豊かで”暮らし良し”」から来ているんだって。
ちょっと素敵だと思いません?
ちょうど、このキラリ春号が出る頃、桜も満開でいいんじゃない?
行ってみる!

さんいんキラリ No.09 より転載

update:2011-03-04