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日帰り散歩 安来

文/タケノコ里煮 イラスト・撮影/葉付ミカン デザイン/河瓶オレ

no14_01「ソウル揺さぶる安来節」の巻

今回の日帰り散歩は安来市です。
2004年に伯太町と広瀬町が合併して新しい安来市がスタートしておりますが、
わたくし、小2まで広瀬町民でその後中学まで安来市民という、今回もまたまた地元シリーズでございます。とは言え、それ以降の安来は全然分からないわけで…。
懐かしさ半分・お客さん気分半分の安来散歩となりました。

島根県安来市がどこにあるのか知らない人も「安来節」を知らない人はいないでしょ? というわけで、まず最初は安来節演芸館へと参りましょう。
ほぼ旧・広瀬町と安来市との境にある安来節演芸館は平成18年に開館した安来節の集大成とも言える施設です。

安来節の歌と踊り、そして安来節にまつわるお芝居が見られる上にどじょう料理も食べられるという、
安来を目いっぱい楽しめる施設なのです。

まるで京都の太秦映画村のような時代劇風の建物へと入っていくと、右手にお食事処・どじょう亭がありますよ。 まずは腹ごしらえ、どじょう料理にチャレンジです。

店員さんおすすめの「まるごと安来丼」を注文。
どじょう・島田タケノコ・伯太番茶・広瀬味噌など、
安来の名産が勢ぞろいの丼だそうで。

待つことしばし、出てきたよ。
見た目は和風味のあんかけ野菜丼、
でも、どじょうが三匹カラッと揚げられて、串刺しになって丼にブスッと突き立てられております…。まるで鯉のぼり、見た目のインパクトすごいぞ。
写真を撮るミカン、怪訝そうに 「どじょうって、もっとこんな長いヤツじゃないっけ?」それはうなぎ!
もしくは穴子だから!

お味はまろやか、やさしい味の丼でした。 どじょうも揚げてあるので、変なクセや臭みなんかもないし。 昔、東京浅草で食べたどじょうの柳川鍋なんてのは「大しておいしくないな…」という記憶があるのですが、本場安来のどじょうは違うね。 満足いたしました。 しかしまあ、この日は平日だったにもかかわらず、 お食事処は満席になる賑わいぶりでした。 観光バスが駐車場にズラッと並んで大盛況よ。

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お腹もいっぱいになったので、いよいよお待ちかねの安来節です。
この日はお芝居休演日につき、安来節のみの鑑賞となりました。

そもそもの安来節について、ここでちょっとお勉強です。
さかのぼること三百余年時は江戸元禄の頃、安来の港は北前船の寄港地として栄え、船乗りたちの交流を通して各国の民謡が盛んに唄われておりました。
その頃、美声で知られた芸妓「おさん」さんはこれら各国の民謡をアレンジしたオリジナルの「おさん節」を唄い評判となっておりました。
この「おさん節」こそが安来節の原型と言われております。
そして大正時代に安来節を全国区の人気にしたのが渡部お糸さん、今はその4代目が家元として活躍されています。

それではいざ、中へ。
芝居小屋のようなホールはおよそ200人収容。ゆったりと見られるように畳敷きに座椅子が並び、2階席には升席もあります。
まずは正調安来節の唄よりスタート。
うう、懐かしい。元安来市民の私は、当然のように小学校で銭太鼓を教わっております。練習のたびに幾度も聞いた、この唄よ…。
自然に体が騒ぎ出します。血のたぎりは次に出てきた銭太鼓でもう止められなくなりました。3人の御婦人が登場して見事な銭太鼓を披露するのですが「これできる! これも覚えてる!」ともうこらえきれずにエア銭太鼓を始める始末!
ああ、勝手に手が!

ミカンはステージ前で撮影に没頭していたので、気づかれなくて幸いだったかも。
「何してんの、この人?」って言われちゃうとこだったわ。
しかし、子供の頃に覚えたことって忘れないもんですね。眠っていた銭太鼓の技が瞬時に目を覚ましたのです。まさに、雀百まで踊り忘れず!

続いては家元・四代目渡部お糸さんの登場で再び安来節の唄を聞かせてくれます。いやー、声の張りといい聞かせるなあ。
家元のオーラを感じました。さすが。

お次はどじょうすくいの実演です。これは何気に顔芸がポイントだよね。どじょうを探す顔、どじょうを掴む悪戦苦闘顔、「取れた0」という嬉しそうな顔。どじょうすくいと言うとキワモノ扱いされがちな気もしますが、明るくチャーミングな踊りで楽しい芸だと思いますよ。ひとつ声を大にして言っておきたいのは「鼻に当てるのは一文銭! マッチを刺すのは志村けん! お間違えなく!」

いやー、思った以上に楽しめますよ。
というか、今までこうして安来節を楽しめる施設がなかったのが逆に不思議だよね。
途中で司会の方が会場のお客様にたずねたところ、岩手・奈良・東京・仙台等々本当に全国各地からお越しでしたよ。
千客万来でご立派ご立派。皆様、安来に行く機会があればぜひともお立ち寄りを。

大満足で安来の中心市内へ。
安来駅が観光交流プラザを併設して新装オープンしているのです。
杉やヒノキで作られた木造2階建ての建物の中には観光案内所にお土産コーナー、
カフェまであるよ。私はこの駅を利用して通学していたので、往時を思うと隔世の感があります。
それにトイレがきれいだ、紙もある!トイレにうるさい我々も合格点差し上げます。

最後は清水寺へ向かいました。
杉林の参道を、途中すれ違うおじさまに励まされながら上っていくと、広い境内にたどりつきます。
まだ紅葉には早い時期だったので、人も少なく静かな様子。
こちらには厄払いの神様として崇められる十一面観音像が祀られています。境内の案内板によると私は後厄だったよ…。
何にもしてないけど。
清水寺のシンボルともいえる三重塔目指して石段を上がってみたら、塔に上がれるのは土日祝日のみでしたとさ。チャンチャン。見たかったなあ、塔の上からの絶景を。
でも、あちらこちらに秋の草花を見ることができて、心なごむひと時を過ごせました。

今回の日帰り散歩の安来は松江や米子にはさまれて今一つ影の薄い気もしますが、安来節演芸館の登場で活気づいてるかも。隣には足立美術館もあるし、さぎの湯温泉も含めて観光のひとつの拠点ができたという気がします。何より今回は安来節に圧倒されたなあ。なじみの深い私はもちろん、ほぼ初見に近いミカンも「意外と面白かったね!」との感想でした。
子供時代に知っていた安来ではありますが、ちょっと会わない間に随分あかぬけたんじゃない? と言いたくなるような思いの安来編でございました。

さんいんキラリ No.14 より転載

update:2011-03-04